雑言 NO.1350

今年は一番最後の日に、開店以来初めてのことがあります。この八百屋の仕事に足を染めて以来、ずっと12月31日の朝もいつも通りに店を開けてきましたが、今年は休むことにしました。カレンダーの巡りあわせだけでなく、今後はずっと大晦日は休もうと思います。正月も七草がゆを食べてから店を始めるくらいのんびりと休みます。日常の仕事量が増えたので、しっかり休ませていただきます。

今年もあっという間の一年でした。1月にやると決めた「八百屋の食卓プロジェクト」に終始した一年でもありました。年を追うごとに一年が早く過ぎる感覚が強まっていましたが、今年は格別。やると決めたことが暮れには実現していて、その過程を振り返ると怒涛の日々でした。頭から泡を吹くと突っ走るのはいくつになっても変わらなくて、脇目も振らずにひたすら走り回った一年でありました。

「八百屋の食卓」は実現したものの、まだ始まって2か月を経過した試運転の途上。年明けから本格稼働すると謳ってきたものの、日常の八百屋仕事に加えての企画や告知や集客や管理はなかなか過酷な仕事量で、覚悟していたとはいえかなりの時間をスポイルされています。やらねばならないことが後回しにならないうちに、対策をしなくては。カラダがへばる前に休めるようにしなくてはならない。

来年は早々からその体制づくりを始めます。内容が違う二つの現場ができたのですから、今まで通りの人と頭ではやりきれるわけがない。「八百屋の食卓」を始めたのも次の世代を意識した店を作るためでしたから、実際に新しい器には新しい葡萄酒を注いでみたい。どんな出会いがあるのかワクワクする一方で、自分に課せられた使命が一層重くなることに耐えられるのか、一抹の不安もあります。

「八百屋の食卓」は順調に始まりみんなで一緒に食べるのは楽しいのですが、現実には問題が山積しています。それを一つ一つ乗り越えながら、きちんと運営できる体制を作るのが来年の課題。さいわい若い世代に八百屋という仕事が認知されつつあるので、その流れとうまくリンクできるように感覚を研いでおきます。八百屋と食卓をひとつの流れで表現する、他にはない業態を作り出してみたい。

CAMBIOでは、今年は新たに量り売りを展開してみました。ずいぶん前から方法を考えていた上に、必要な道具もほとんどそろっていたので、やるとなったらすぐに始めることができました。意識の中にはなかったのですが、世の中では量り売りがひとつのトレンドになりつつあります。来年はもっと量り売りのアイテムを増やします。量り売り専用の棚を作って、見栄えがするように並べてみたい。

量り売りが注目を集める理由は、海洋汚染で注目を浴びたプラスチック製品を減らすことができるからと、自分にいま必要なだけを買うことができる利便性です。容器をお持ちいただくことで無駄を省くことができ、必要以上の食材を保存する必要もなくなる。来年はもう一歩進めて容器のリユースを店頭で展開します。空き瓶をきれいに洗ってみんなで再利用をするシステムを作ってみようかな、と。

世界的な気候や環境への問題を考えることは大事ですが、大きな問題を遠くからとらえるのではなく、私たちは身近な問題をできることから変えていく提案をしていきます。虫や生き物たちを必要以上にいじめない食べもの、みんなで一緒に食べること、いろんな美味しい食堂を紹介すること、いろんな楽しいイベントを展開すること。来年も懲りずに続けていきます。どうぞお付き合いくださいませ。