雑言 NO.1353

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昨年の夏に一緒に暮らしていた長女が東京で仕事を見つけ、家を出て行って半年。二人だけの暮らしも板についてきましたw。8人で暮らすように作った家ですから、2人で暮らすには広すぎます。暖房の効率だって悪いんだろうけど、今さらすぐにどうできることもないので仕方なく今まで通りに使ってます。将来的には2階を壊して平屋に減築するか、民泊で外国人をお泊めするか、と考えてます。

東京で田舎暮らしを模索していたころは、山に近い古民家で暮らすことをイメージしていました。それまでに寝泊まりさせてもらってきたのはどこでも古民家でしたから、田舎暮らしは古民家のことだったのです。囲炉裏の燻し臭さが満ちた、大黒柱と黒い板戸で仕切られた広い部屋。薄暗い土間や、濡れ縁越しに見える雪を抱いた山。そんな家が田舎暮らしに満たない田舎遊びのベースでしたから。

でも、こちらに移住してひと冬を過ごし、店の2階暮らしから脱して自分たちの家を構えるかとなった時に、古民家暮らしは無理だということが分かりました。古民家に暮らすことは家回りの手入れを自分たちでこなすことが必要だけど、我が家の♂にはそんな時間を作る気はさらさらない。週に6日は店に出ずっぱりだし、休みの日は子どもたちを車に積んでどこかに遊びに行くことばっかりだし。

実際に田舎暮らしが始まっても、私たちが求めたのは身近な広い野山を駆け巡って遊ぶことで、家という拠点を中心に暮らしを楽しむことではなかったのです。だから天気の良い日に古民家で遊ぶことは好きだけど、寒い雪の日に断熱という概念がない広い家で隙間風対策をするようなズクはありません。古民家を楽しめる人にはそれなりのスキルとズクが必要ですが、私にはどちらもなかったのです。

何よりも家を切り盛りするのはカミさんが得意とするところで、私は店をやる方が得意でした。だからカミさんが暮らしやすいのはどちらかと言えば、古民家ではなくて断熱性が良くてメンテが楽な家だったのです。ひょんなことから自前の家を建てることになったのですが、その時も動線を基に部屋や設えを考えるのはカミさんの役目。私は工務店の見積もりを細かく突っつくことしかできなかった。

そうしてカミさんが家の造りを練り上げていく時に、これが絶対に欲しいとこだわったのは床暖房でした。店の2階という安普請で信州の冬の寒さに懲りたのと、かつて暮らした中東の国で壁暖房がすごく暖かかったので暮らしに取り入れたかったのだそうです。コストはかかるけれどこれは絶対にはずせないと設計に練り込みました。私は薪ストーブがあればなんとかなるだろうと思ってましたけど。

生まれたてのチビを含んで8人で暮らし始めた家は、冬でも床暖房のおかげで快適でした。薪ストーブは施工が雑で火事になり損ないましたが、床暖房は今までに経験したことがない冬の暮らしをもたらしました。冬なら冷たくてスリッパを履かなければ歩けないはずのフローリングに、子どもたちがゴロゴロを転がって本を読んでいるのです。ソファやカーペットも必要なくなったので広々としたし。

モノを持つことが嫌いなので、家には家具というものがほとんどありません。子どもたちも部屋にこもることなく、みんなが転がっている居間でいつも過ごしてました。ゴロゴロ転がっているのは行儀が悪いなんていうことより、押し合いへし合いしながら一緒に暮らしている方が私たちは好きです。だから今も2人で大きなお尻を薪ストーブであぶりながら、暖かな床に転がって冬を過ごしてます。