昨年秋から始まった量り売りがどんどん増殖し、パン棚の上の島を占領し、さらにもう一つのテーブルまで乗っ取ろうとしています。砂糖と玄米から始まったアイテムも天然海塩やドライフルーツやナッツ、地豆や大豆ミート、ポップコーンなどアイテム数は20を超えそうな勢い。アイテムはどれも常温でも変質せず、乾燥を好むもので、粒または粉状で付着物や浸出液がないものに限定されます。
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問題は夏になって高温多湿になった時、品質を維持することができるかどうか。あえてエアコンを使わない店ですので、蓋がしっかりできていても乾燥を維持できるかどうか。乾燥材を入れてパッケージしてあるものなら安心ですけど、ある日気がついたらアレレ!なんてことが起きないように、今までとは違う管理が必要になってきます。新しいことは何でも試行錯誤がつきもの。楽しんでみます。
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量り売りのアイテムは、どれもプラスティックのパッケージに収められていたものを開放したものです。時代の要請に従っているように見えますが、これまでの動きを遡ってみればそんな偉そうなことが言えるわけでなくて、罪滅ぼしや言い訳程度にしかなりません。食べものや野菜の販売は、プラスティックがなくては成り立たないほど強固な依存関係があって、今後も簡単に解放されそうにない。
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私がこの仕事を始めた30年以上前は、菜っ葉も藁で束ねられただけでした。竹の籠に並べておくと午後にはしなびてしまう。霧を吹いたり夜は水に浸けたり、野菜の管理は八百屋の手を煩わせました。やがて、農家がビニール袋に入れて出荷するようになり、飛躍的に菜っ葉の管理は楽になった。柑橘類はラップを巻くことで皮から水分の蒸散を防げるようになり、傷みやロスを減らせるようになった。
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買い物袋についてはその頃から持ってきてくださるようにお願いをしてきたし、プラスティックに頼らない売り方を常に心がけていたけれど、野菜を売るためにプラスティックの使用量が増えてきたのが現実です。そのことを忘れて、量り売りで環境問題に対応しているかのようなことを訴えるのは、ご都合主義でしかない。だから量り売りでは、買い物の楽しさを感じてもらうことに重点を置きます。
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例えば、ひとり暮らしの人が大豆ミートのナゲットを3つだけ買えたら、今夜のおかずに初めて大豆ミートの唐揚げを作れるかもしれない。ペカンナッツが少しでも買えるなら、クルミとはちょっと違うペカンナッツのクッキーを作って「いつもと違うんだよ」と誰かに自慢できるかもしれない。袋にプラスティックを使わないだけでなく、必要な分だけを買えることで作ることが楽しくなればいい。
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持って行った器に自分で必要なだけを入れることで、買う=お金を払うだけではなくて、買う=得る=お金を払うことで生活に必要なモノを得る動きが生まれたら、ネットでポチリの買い物より楽しさを感じてもらえるかもしれない。そもそも買い物は暮らしに必要な品々を得るために「狩り」に行くようなものだから、品質や衛生を保てる範囲で「狩り」を体験するときっと楽しくなると思うのです。
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数か月たってわずかですが問題点も見えてきました。ひとつはお子ちゃま対策。ママが袋に入れていると一緒にやってみたくなるもの。でも、砂糖だってお米だって大事な食べもの。カップからこぼしちゃったら商品としては戻せません。お会計が済むまではお店のものよ、と教えてあげてください。お家に帰ったらいっぱいお手伝いしてほしいけど、お店とお家は別なのよ、と。お願いいたします。