雑言 NO.1357

 

今年の冬は異様に暖かいので、ワタクシの敏感なお鼻は1月からスギ花粉を検知していました。慢性鼻炎に加えて、ハウスダストや各種の花粉にアレルギー反応を示すので、一年中抗アレルギー剤のお世話になってます。まだ花粉症が一般的になる前から耳鼻科の医者が「キミはなんで春になると鼻が腫れるんだろうねぇ」と言っていたので、花粉症の先駆けだったのです。ちっともうれしくないけど。

ワタクシのお鼻は花粉だけでなく、匂いにも敏感です。子どもの頃から季節の変化はまず匂いからやってくることを感じていましたし、天気の変化も家の中の匂いが変わることで予知できました。子どもの頃から視覚が退化してド近眼でしたから、嗅覚が補おうとしたのかもしれない。造作も性能も首から上に良いものがないことは自覚してますが、お鼻だけは良かったのです。鼻水は垂れてますけど。

最近、そのお鼻が花粉以外にも不穏な反応を示すことが増えてきました。くしゃみが出たり鼻が詰まったりすることはないんですが、感覚的に受け入れがたい人工的な香りが増えてきたのです。しかも大変申し上げにくいことに、お客さんのカラダから匂ってくる。どうやらお使いの洗剤や柔軟剤に含まれている香料の匂いだったのです。ワタクシ以外にもその匂いに拒絶反応を起こす人が増えてます。

その「香害」と呼ばれる新たな現象を知るために、11月に八百屋の食卓でガイダンスを開きました。香りに限らず空間に漂う物質に敏感に反応する「化学物質過敏症」の方が増えていることは知っていましたが、ワタクシのお鼻でも感じない匂いや電磁波、放射線で体調を崩してしまう人の深刻さは、当事者だけではどうしようもない深刻さ。でもそれを知っている人はほんとに少なくて、無慈悲です。

電磁波や放射線はテクノロジーや権力が絡んでいるので簡単に解決できないのですが、衣類から発せられる人工的な香料は、生活する人が気づけば解決しやすい。まずはその人工的な匂いで苦しむ人がいることを知ってもらおう、というのがガイダンスの趣旨でした。いきなり香料のついた洗剤はやめて!と叫んでも、それぞれの生活に基づいた問題なので自発的にやめてもらうしか方法がないのです。

学校や会社など長時間を過ごす場所では、とくに被害が深刻化します。それは学校に通う子供たちの後を歩いていると、さまざまな人工的な匂いが漂ってきます。衣類だけでなくボディソープやシャンプーなどあらゆる洗剤に人工的な香料が使われているので、教室の中がどんな匂いになるのか想像できてしまう。子どもたちに罪はないし、彼らのお鼻は慣れて当たり前としか思っていないだろうし。

花粉症と違って人工的な香料はワタクシのお鼻の粘膜に症状は起こしませんが、何とも言えない不快感に覆われます。嗅覚は脳に直接働きかける感覚なのだそうで、アロマテラピーはその即効性を生かした療法です。脳には不快な匂いもすぐに伝わってしまう。不快であることが記憶されて繰り返しメンタルな傷を負うことでカラダが不調に苛まれるようになって、化学物質過敏症が始まるのでしょう。

ワタクシのお鼻は敏感ですが、幸いメンタルが鈍感なので過敏症になっていません。でも、どうしてこんな不快な匂いが洗剤に必要なのかは、理解ができません。だからメーカーには洗剤に人工的な香料を使った洗剤は作るのをやめてもらいたいし、消費者の方にはカラダから出る匂いを不快に感じている人がいて、過敏症に苦しんでいる人がいることに気づいてもらえたらうれしい、と思うのです。